2018年3月3日土曜日

札幌駅の配線について考えてみる(9)

 さる2018年3月2日,鉄道・運輸機構のホームページに以下の資料が公開され,北海道新幹線札幌駅の位置に関する各案(現駅案,大東案,地下案など)の課題について整理されている。


 筆者がここで着目したいのは,現駅案における札幌駅の改良工事,および発寒中央駅付近での改良工事の内容である。図は,いずれも同資料から抜粋したものである。

図1:発寒中央駅付近
図2:札幌駅付近
 筆者が過去の記事「札幌駅の配線について考えてみる(5)」(に限らず何度も)で指摘したように,札幌~手稲に待避設備が一つも無いだけでなく,札幌駅桑園側の引き上げ線が不足していて,ダイヤ設定の自由度が極めて低いのが現状である。図1で示した発寒中央駅付近の改良内容は,これらを一挙に解決できる可能性を秘めており,札幌駅の新幹線ホームの場所に関係なく,札幌~小樽のダイヤパターンをかなり幅広く検討できることが期待できる。
 一方,図2では札幌駅の配線改良工事案が示されている。札幌駅の配線上ボトルネックになりがちな箇所は,図3で着色した部分であり,図2案はここに手を入れることを狙ったものと思われる。個人的には,東側への渡り線追加は想定外だったが。
図3:現況の札幌駅とボトルネック箇所(点線は線路跡)
 この箇所がボトルネックとなる原因は,手稲方面から8番線から11番線のどの線路に入る場合にも,札沼線の本線を通らなければならないことである。札沼線を10・11番線に固定するにしても,手稲方面から8・9番線に入る列車との交差支障を常に避けなければならず,現況のままで11番線を増設しても,イマイチ使い勝手の良くないものになると思われる。
 図2案の難点として,札沼線から手稲方面に折り返してゆく列車(例えば2018年3月3日現在で1542M→3420M)を入れられるホームが6・7番線のみとなってしまうことが挙げられる。特急列車やエアポート号との干渉を避けながら,上記のような折り返し列車をどのように設定するものか,気になるところである。もっとも,いちいちホーム上で折り返さなくて済む形が最初から出来るなら,それに越したことはないのであるが。
 
図4:改良案を筆者なりに整理するとこんな感じ
同資料にはさらに,札幌駅への第二場内信号新設に関する記載がある。具体的な場所について書かれていないものの,実現すれば列車間隔の短縮に大いに寄与するものと思われる。比較的ホームの長い3~6番線なら,無理矢理縦列停車させることもできなくはないように思えるが…
 筆者はこれまで,札幌駅付近の配線について,ダイヤ編成上ボトルネックとなる部分を予想しながら記事を書いてきた。今回明らかになった鉄道・運輸機構の検討案が実現すると,これらのボトルネックはほぼすべて解消できる。あくまで筆者の私見であるが,「在来線への運行支障を考慮すると,現駅案の方が却って使い勝手が良い」と考える。


 もっとも,「エアポート号を毎時5本に増発する」「北広島市が球場誘致を実現し,新駅設置の要望が出る」と,ダイヤ編成上はもっと別の問題が浮かぶことが考えられる。具体的には①「北広島→白石で,普通列車が優等列車から逃げ切れない」②「島松~サッポロビール庭園で,普通列車が優等列車から逃げ切れない」の二点である。筆者は①②の課題を,札幌駅の配線と切り離して考えることが出来ると考え,①②への対処策とその考察は,機会を改めて筆を起こすことにする。

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