2016年9月20日火曜日

札幌駅の配線について考えてみる(3)

以前の記事に引き続き,札幌駅の新幹線用ホームを現在の1・2番線の位置に建設したとき(上の図の状態),どのような問題が生じるか,いろいろと検討してみようと思う。
 本来は,前回作成したパターンに丸一日分のダイヤを当てはめ, 「何時ごろここが足りない」などの議論をすべきところであるし,筆者自身もそのつもりで準備してきた。しかしながら,筆者自身の都合により腰を据えて取り組むことが出来なかったことと,どうやらこの問題に対し9月中をめどに結論を出そうとしているらしいと耳にしたこと,この二点を理由に,未完成のままひとまず文章として書き起こすことを決めた。

 筆者自身の手元では,ダイヤをパターン化(千歳線は15分周期,函館線は30分周期)し,おおよそ9時から20時を目安にこのパターンにあてはめ,ホームが足りるかどうか検討するつもりで作業を進めてきたため,その一部を図示してみた。
図2:現行のダイヤを筆者想定パターンに(無理矢理)あてはめた場合の図
  
 筆者は札幌駅の配線に一番無理が生じると思われる時間帯を「夕刻(ここでいう16時から19時)の手稲方面」 と予想した。というのも,新幹線に1・2番線を譲ってしまうと,まともに運用できる手稲方面ホームが3から5番線しかなくなってしまうためである。苗穂方面が6から11番線まで使えるのとは(札沼線を差し引いても)エラい格差である。時間帯を16時から19時にしたのは札幌着の特急が多いためだが,特に16時台は普通列車まで多いことも理由として挙がる。ここをなんとか3から5番線で間に合わせることができないか検討したが,結論から言えば,「条件はつくが,間に合わせることが可能」であった。


 今回は書こうと思っている内容にイマイチまとまりが無いため,以下FAQ形式にて整理しようと思う。

Q1. どの列車を何番線に入れる想定で組んでいるのか?その根拠は?
A1. 以下の通りとした。カッコ内は1時間あたりの本数である。

11:予備
10:札沼線(3)
9:スーパーカムイ(2)
8:いしかりライナー(2),江別方面行普通(最大4)
7:快速エアポート(4),千歳方面行普通(最大4)
6:千歳線始発特急(最大4)
5:千歳線終着特急(最大4)
4:快速エアポート(4),千歳方面発普通(最大4),江別方面発普通(最大2)
3:スーパーカムイ(2),いしかりライナー(2),江別方面発普通(最大2)

これは,以下の点を考慮して決めている。
○快速エアポートといしかりライナー(札幌~江別で快速運転)を可能な限り対面接続させる。これは,現状の長時間停車を見直すとともに,現在札幌どまりのエアポートを手稲以西各停の小樽行きとして運用し,札幌駅での折り返しを減らす狙いもある(そもそもUシート付の6両編成の数が足りてるのか怪しく,かなり無理矢理だが…)。
○千歳線の特急は増結を考慮し,比較的有効長さの大きい3から6番線を使う。しかし,3・4番線は手稲方面の普通列車で埋まっていること,真ん中に寄せた方が苗穂方面に折り返しやすいことの二点を念頭に,5・6番線を基本とした。
○現在の9~11番線は交差支障が多く使い勝手がイマイチ良くないと感じるが,将来の配線改良に期待し,札沼線は北側に寄せる。
○エアポートは苗穂側で分岐制限を受けにくいよう調整した。…と言う割には,上記に従って決めたらたまたまそうなってしまったのが実情。
○余った9番線に始発のスーパーカムイを割り当てる。

Q2. パターンの決定順序は?制約条件として厳しかったのはどこか?
A2. 正確に再現できているとは言えないが,以下の順序で考えた(らしい)。
①スーパーカムイの時刻を現行通り入れる。札幌発0・30分,札幌着25・55分。
②千歳線の特急を札幌発0・15・30・45分とし,南千歳まで標準28分で走破することを想定する。個人的には最高速度120km/hでも十二分に走れる数値と考えている。
ちなみに30の倍数より少し少ない値にしたのは,いわゆるスイス方式に倣うことを想定したためである。スイスの鉄道は,「毎時55分くらいに各線から列車が集まってきて毎時00分にまた発車していく」と同時に,「乗換駅どうしの間を55分程度で走る」ことで,乗り換えの利便性を確保する狙いがある。スイス方式にすると駅のホームがいっぺんに大量に使われるので,この文章の趣旨には反するんですけどね
③千歳方面の快速エアポートを特急に追いつかれない範囲で,かつ間に普通列車が挟まっても逃げ切れるように入れる。このパターンでは特急の4分45秒後としている。北広島で緩急接続を取った普通がサッポロビール庭園まで先行する際,特急のスジが1分ほど寝てしまっているのはご愛嬌。
 この影響で千歳方面行きの普通列車は,すぐ後ろに特急がいる限りサッポロビール庭園に停車する必要が出る。これは,千歳まで逃げ切るのが困難なためである。
※一応,北広島で特急通過待ち→島松でエアポート通過待ちならサッポロビール庭園まで逃げられるし,エアポートの出発が1分ほど早められるが,そこまでする必要はないと判断して今の形にしている。
④厚別で上り普通列車の特急通過待ちをしたくなかったため,江別方面から来る普通列車が札幌駅に到着できる時間帯は限られる(毎時22分から36分,52分から翌6分が到着不可)。この普通列車が遅滞なく札幌駅を発車すると仮定したとき,手稲まで快速に追いつかれないよう,快速エアポートの札幌発車時刻を決める。
⑤南千歳付近でエアポートどうしが交差支障を起こさないことを念頭に,空港発エアポートの札幌停車時間を決める。今回は偶然にも4分に収まったが,南千歳でエアポートどうしが行き違う,従来と異なるパターンに決まった。
⑥エアポートに追いつかない範囲で,かつ普通列車が逃げ切れる範囲で,札幌行きの特急の時刻を決める。

似たようなことは前回も書いているが,改めて文章化してみると長い長い…(汗)

Q3.札幌駅のホームは「条件付きで足りる」ってどういうことよ
A3.条件の一つは「5番線に到着した千歳線からの特急が,到着から10分で札幌駅5番線を離れ,どこかしらの引き上げ線に向かう」である。15分間隔で特急が来ることを想定する以上,停車時間は10分が限度と思われる。ただし,筆者が目視で観察した限りでは,ドア閉めまで5分程度で出来ているので,全くの不可能とは考えていない。

Q4.特に冬季はダイヤ通りの運転は困難ではないか?ダイヤ通り運転できないなら,今までの議論は意味がないのではないか?
A4.筆者の個人的な意見だが,岡山付近の単線区間では似たようなことがすでに起こっている気がする。岡山と瀬戸大橋の間の一部複線化をするにあたって,ダイヤ通りの運転を前提に複線区間を選んでいる気がするのだが,強風でダイヤが乱れると結局収拾がつかなくなってしまう。筆者がこれまで書いてきたことも結局はダイヤ通りの運転が前提なので,この懸念は当然と思うし,筆者自身も懸念しているところである。
 とはいえダイヤ乱れ時のホームは何本あっても足りないわけで,そこまで考慮していては議論が進まないので,これまであえて避けていたのも事実である。

Q5.では,ダイヤ乱れ対策は何も考えないのか?
A5.今までFAQ形式で整理した理由として,パターンを組む際にどこが「しんどい」かをあらかじめ明らかにしよう,というものがあった。ダイヤ乱れ時の弱点として露呈することを念頭に置いたものである。ダイヤ乱れが他に伝播しないようにするには,以下のような配線改良を「おねだり」することになると考えている。
札幌駅については図3太線の通り,

図3:ダイヤ乱れ対策と称する渡り線増設候補(案)
○8・9番線が札沼線と交差支障なく利用できるよう渡り線を増設
○9番線から平和方面に出ても10・11番線の厚別方面との交差支障が無いよう渡り線を増設
○5番線から苗穂方面に回送しても平和・厚別方面からの同時進入(3・4番線)を妨げないよう渡り線を増設
あたりが候補となろう。しかし相変わらず3・4番線に大量の本数を負担させているため,あまりにもダイヤ乱れの収拾がつかない時に備え,最後の手段として以下を考えている。
○3・4・5番線の場内閉塞を真ん中で分割して追い込み時間を短くするとともに,いざというときは縦列停車させる。3から6番線の14両(筆者が目視で測定。多少の誤差はすみません…)にも及ぶ有効長を利用できないかという案。
○4・5番線の真ん中あたりに渡り線を置き,手詰まりの際に駅構内で転線する。アムステルダム中央駅の配線をそのまま持ってきたようなものだが,札幌駅の実態に合わない気がしないでもない。

札幌駅の外では,
○厚別駅の上り本線移設
○発寒中央・発寒付近の待避設備新設(ただし,現地にはエレベーターがあるので新設は困難?)
○手稲の小樽側に引き上げ線を「上下線の間に」新設(ただし,本線の移設を伴う)

あたりだろうか。しかし,冬季は使う分岐器を集約した方がいいような気がするので,あまり有効な策としては認められないかもしれない。

Q6.そもそも手稲回送が図示されてないじゃないか
A6.本当はそこまで考えながら組むはずだったところ,9月いっぱいに当方で仕上げられないと判断し,あえて何も書かなかった(すみません…)。


今回はこんなところにして,思い浮かんだものは適宜次回追加していこうと思う。


2016年9月3日土曜日

札幌駅の配線について考えてみる(2)

 
 
図表題:今回作成したパターン(今回の最終形)
先日,北海道に足を運んだ。過去に札幌駅の配線について書き,公開した記事に対し,今回北海道を訪れて得られた知見から,補足を行うことにする。
 まず,筆者が北海道に足を運んだタイミングで台風の影響から列車が次々と運休してしまい,暇を持て余してしまった影響で,札幌近辺の普通列車に乗る機会を得た。実際に乗ってみて判明した,実現困難と思う部分を修正してゆき,ひとまず以下のダイヤパターンを考えてみることにした。
図1:筆者想定ダイヤパターンその1
結構必死こいて考えたつもりなのだが,札幌~南千歳を特急で28分,快速で34分で走ることを前提に,普通列車を「入れられるところに入れてみた」といった感じの図なので,各駅停車がこんなに大量にいるわけではない。
 まず図の下り方向(苫小牧方面)の特急が1分寝てしまっている。北広島で快速エアポートと緩急接続を取ると島松まで逃げ切るのが困難なので,やむを得ず上野幌から島松までの間で1分寝かせる構成にしている。苫小牧方面のサッポロビール庭園は後ろから優等列車に追いかけられている列車はすべて停車する必要が出てしまうので,現在の旅客流動からするとあまり自然な形とは言えないが,優等が速すぎて千歳まで逃げ切るのが困難な状況下では,他に手が無いのが現状である。
 図の上り方向(小樽方面)も,優等列車を1時間に4本ずつほぼ等間隔に並べ,白石と北広島で待避を行っている。東急東横線と同じ本数という過密なダイヤを組むことはまずないであろうが,とりあえず入れようと思えば入るという程度の話である。小樽方面は白石駅で待避が可能で,西の里信号場の有効長さも長いので,上野幌での通過待ちはすべて苫小牧方面に譲ることにした。こうして,上下線で非対称なダイヤパターンが出来たというわけである。
 折り返しという観点からは,比較的無理の少ないパターンにしたつもりなのだが,手稲どまりの各停を置く場所がないという難点は残る。正直なところ,小樽行きの各停をやめてこれも手稲どまりにすれば,折り返し場所にも困らないと思う。朝里・銭函駅の利用者にとっては減便になってしまう(現況の毎時3本→毎時2本に減便)が,現況は等間隔でないし,区間快速を6両化し,新千歳空港方面に直通させるので,輸送力はむしろ増えている(毎時9両→毎時12両)し,ポジティブに考えればサービスアップなんじゃないかと思う。このため,筆者は手稲どまりの置き場所についてあまり気にしていない。
 ちなみに,筆者には(北広島での緩急接続をあきらめない限り)これ以外のパターンが作れなかったので,読者の皆様からよりよいパターンを募集したいところである。


 …とは書いたのだが,実は困難な問題がもう一つ生じている。それは,上りの江別→札幌で待避できないという問題である。 厳密には待避出来ないこともないが,特急に副本線を通過させるのでスピードダウンにつながり,個人的には気が進まない。そのため,
図2:札幌~旭川想定パターン
この図2のようなパターンに限定されてしまうのでは,と考えている。この時,特急の前後に普通列車が入らない時間帯(毎時22分から36分にかけて,毎時52分から翌6分にかけて)が出来てしまう。一方図1では,毎時10・25・40・55分に小樽方面に出発する快速の前に8分ほど,普通列車が発車できない時間帯がある。これは,札幌から手稲まで待避設備が無く,ここを空けておかないと快速のスジが寝てしまうためである。
 このままでも,札幌駅で長時間停車させ,快速が札幌を出発するのを待っていれば良さそうなのだが,この記事の趣旨である「札幌駅の在線時間を極力短くする」に反してしまう。そこでこの記事では,図‐1の小樽方面のスジを丸ごと平行移動することによって,札幌駅での停車時間を圧縮できないか考えてみた。色々と考えてみると,小樽方面のスジを5分前に平行移動することにより,

図‐3:改良ダイヤパターン

 図‐3のようなパターンが得られる。こうすると,ちょうど「江別~札幌で特急待避が出来ない影響で各停が走れない時間帯」と「札幌~手稲で快速待避が出来ない影響で各停が走れない時間帯」を重ねることが出来る。あと,地味に南千歳での特急‐快速間の接続にかかる時間が短くなり,結構大きな効果が得られそうである。
 ただし,この図‐3パターンには致命的な難点がある。それは,南千歳から駒里信号場までの距離が長い割に時間の余裕がなく,行き違いの設定がしんどいという点である。最初からそうならないように設定すれば良さそうだが,現況の時刻表を見ていると,やむを得ず駒里信号場で行き違いせざるを得ない状況が出そうである。どうしたものか…といったところである。

 というわけで,ここまで札幌駅に同時に在線する列車を減らすことを考えながらパターンを組んできた。このパターンを見ている限りでは,3番線(いしかりライナー,スーパーカムイ,普通列車の一部)・4番線(快速エアポート,普通列車の一部)・5番線(千歳線の特急)の3本で強引に回しきれそうな気がしてくる。ダイヤ乱れ時にどうしようという議論も起こるだろうが,3番線から6番線の有効長さは非常に長く14両編成分(筆者が目視で測定。多少の誤差はすみません)のホームがあるため,いっそのこと場内閉塞を東京の満員電車よろしく半分に割り(以下検閲削除。車止めを置く気はない)を検討している。

 次回は,このパターンに現行のダイヤを当てはめながら,出て来る問題点を整理し,どうしようもない点が出てきたところで,配線改良をおねだりする方向で書いてみようと思う。あくまで現時点での筆者の予想だが,以下の点が問題として浮かび上がると思われる。

3から6番線の場内閉塞を半分に分割
9番線と10番線の同時発着
11番線の設置もしくは,9番線を真ん中で分割
手稲駅に入庫とは別に,折り返し専用の引き上げ線を設置
厚別駅の上り本線移設
琴似駅の函館方になにかを新設

図‐4:最終的にはこの形の図に持っていきたいところ(妄想)