2022年10月30日日曜日

2022年11月の京急線ダイヤ改正について(1)

 おことわり


 本件は、2022年11月に予定されている京急線のダイヤ改正について、10月30日現在の当方での予測状況を簡潔にまとめるためのものである。

 プレスリリースの記述自体との整合作業は未了であるが、現時点でおおまかにまとまったので画像として掲載する。

 

図1:10月30日時点での妄想結果。

図2:図1の解像度を上げただけのもの。まじまじと眺めたい人向け。

2022年10月16日日曜日

JR東日本トレインシミュレータ(JR East Train Simulator)で遊んでみた(3)

  今回の記事の趣旨は、JR East Train Simulator で運転できる路線のうち、京浜東北線の大宮~南浦和の区間について、最も省エネルギーとなる運転方法について追求することである。本稿では前提として、「等増分消費エネルギー則による運転時分配分を行う」「速度によらず、機器効率は92.5%、ギア効率は97.0%とする」「加速中の架線電圧は列車の位置や速度によらず1350Vとする」「補機(冷房等)による消費電力量は考慮せず、純粋に走行のみに起因するものを対象とする」「回生ブレーキによる負の消費電力量は評価しない(※ブレーキの効きとしては評価する)」「個々の運転曲線は、最大加速→惰性走行→最大減速(1段制動、残り10m程度から多段緩め)を原則とする」を置く。

 では早速、大宮~南浦和の5つの駅間について、消費電力量を縦軸、運転時分を横軸に取って図示する。

図1 縦軸に消費電力量、横軸に運転時分を取った、両者の関係図(いわゆるW-T曲線)

図2 図1を作成する際に用いた運転曲線の一例(さいたま新都心→与野)


 縦軸に消費電力量、横軸に運転時分を取り、運転曲線を複数通り作成した上でプロットすると、傾きが負で下に凸の曲線が得られる。回生電力量を考慮しない場合の消費電力量は、概ね最高速度の二乗に比例する上、最高速度を上げれば上げるほど惰性走行の時間が短くなるので、グラフの左側では傾きが急になる現象がみられる。

 ここでは、大宮~南浦和の運転時分の合計を一定値としたとき、各駅間に何秒ずつ割り付けるのが最も省エネルギーであるかを論じる。この仮定は、「採時駅である大宮駅の発時刻と南浦和駅の着時刻を固定した状態で、各駅に何秒早着(もしくは延着)するのが最も省エネルギーであるか」を論じているのと同等である。「省エネルギーな列車ダイヤ作成のための簡易数理モデル」によれば、図1で言う曲線の接線の傾きがすべて同じとなる状態が、最も省エネルギーな運転時分配分とされる。図1においては、所与の運転時分に対するグラフの傾きを図示したが、大宮~さいたま新都心~与野は傾きが緩やか(運転時分が余る)で、与野~北浦和~浦和~南浦和は傾きが急(運転時分が足りない)という傾向がみられる。これらの傾向を基に、「接線の傾きがすべて同じとなる状態」を再現すると下記のようになる。

表1 運転時分の割り付け変更に伴う省エネ効果。元々の運転時分(※10月3日のアップデート以降)の配分は比較的理にかなっており、割り付けを変更した際の省エネルギー効果は思ったほど大きくはなかった。

図3 接線の傾きが全て同じになるよう運転時分を調整した状態。

 前掲の表1及び図3の通り、運転時分の割り付けを若干見直すことにより、大宮~南浦和の消費電力量は、213.8kWhから210.3kWhへと若干(約1.6%)減少することとなった。あくまで偶然ではあるが、さいたま新都心駅及び与野駅に対する若干の早着・早発が発生することになるので、これを認めてよいかどうかの議論が必要と考えられる。

 次回は、高速域で回生ブレーキ力が不足することに起因する、ブレーキパターンの見直しによる効果について考察する予定である。

2022年10月4日火曜日

JR東日本トレインシミュレータ(JR East Train Simulator)で遊んでみた(2)

  今回筆を起こした背景は、前回記事のリリース後、本シミュレーターの2022年10月3日のアップデートの影響を受け、浦和~南浦和の運転時分が20秒も短縮になったので、ランカーブを慌てて書き直したことにある。

図1: 区間運転時分の変更(2'10"→1'50")に伴う運転曲線の変更

 ノッチオフ速度を43km/hから63km/hに変更した程度で運転時分が20秒も変わるのか、と聞かれると、この図の通り「変わる」というのが答えである。ノッチオフ速度と言うよりは、その先の下り勾配による運動エネルギーの加算により、巡航速度が55km/h程度から70km/h程度にアップする、という言い方が正確かもしれない。

 この区間の運転時分を20秒詰める代わりに、最高速度が1.5倍近くになっている。運動エネルギーを速度二乗で近似すると、2倍近くの消費電力量になると推測できる。もっとも、この区間に関してはアップデート前が遅すぎた説が有力なので、運転シミュレーションとしてみれば妥当な変更だろう。

 この区間の運転時分変更に伴う、大宮~南浦和の各区間への所要時間の割り付け方に関する方向性の考え方については、今後の課題とする。


 閑話休題 このシミュレーターは、バグなのか不明だが逆走が可能である。逆走は駅を平然と通過できるので、例えば浦和→大宮の中距離電車を逆向きに眺めた結果を近似的に再現できる。この際の運転曲線の、実測値と当方で考える理論値を図示したのが以下のグラフである。

あとがき ところで、このゲームのリリース以来、掲示板では様々な議論が交わされているものの、浦和~南浦和で運転時分が余る、という報告は上がっていないと認識している。同区間の運転時分は、いったい何をきっかけに見直すことになったのだろうか……?

図2: 浦和→大宮を逆走して得られた結果。走行抵抗に若干の過小(70km/h付近)・過大(100km/h付近)の見積もりが見られると思われる。今後、これらの整合を取るための走行試験が必要と思われる。