2017年8月21日月曜日

札幌駅の配線について考えてみる(4)

 今回長い中断期間を経て再び札幌駅の配線問題を取り上げたきっかけは,2017年6月2日付の北海道新聞にて,エアポート用車両発注 JR、増発に向け24両なる記事が掲載されたこと,同8月8日付の同新聞にて,新幹線ホーム位置、検討長期化  札幌「現駅案」 利便性優位も在来線に支障なる記事が掲載されたことである。引用する割には中をよく見ていないのだが,何度も話題となっている札幌駅の新幹線ホーム位置問題に関して,改めて筆を起こしてみようと考えた。今回は,「快速エアポートを毎時5本に増やすことを想定し,具体的なダイヤパターンを作成すること」「「現駅案」に落とし込もうとした際,具体的にどこがネックとなるか明らかにすること」を目指そうと思う。

 まずダイヤパターンを作成する際の前提として,「特急・快速共に12分間隔」「特急の停車駅は札幌・新札幌・南千歳・苫小牧」とする。次に,列車同士の最小間隔を決める。具体的には,「先発列車の発車から次発列車の到着まで,同一ホームの場合は2分30秒」「待避駅での待ち合わせの場合は,緩行列車の到着から1分45秒後に優等列車が到着,優等列車の発車後1分30秒後に緩行列車が発車」「待避駅での通過待ちの場合は,緩行列車の到着から1分30秒後に優等列車が通過,その通過後1分15秒後に緩行列車が発車」のように決める。これらの値と,いわゆる標準運転時分の間で適宜加減算を行い,以下のような表を作成する。

表1:千歳線優等列車同士最小運転間隔表
上段:先発特急,後発快速
下段:先発快速,後発特急
「自駅の」「発時刻(または通過時刻)同士を」比較し,10分を超えるものは省略。
自\至 札幌 白石 上野幌 北広島 島松 ビ庭園 千歳 特急と快速との間の
所要時間差及び要因
札幌


07'00"
08'45"






白石 05'00"
05'00"







上野幌




05'30"
05'45"
06'45"
08'30"



北広島 00'00"
00'00"
07'00"
07'45"



05'30"
06'15"
08'45"


北広島快速停車+01'15"
島松
08'15"



05'30"
05'30"

06'45"
07'30"


サッポロビール
庭園



08'45"

06'30"
08'45"

05'45"
06'00"
恵庭快速停車+01'30"
千歳




07'00"
07'45"

千歳快速停車+01'30"

 この数字が大きいほど,優等列車同士の間隔が開いてしまう,悪く言えば詰め込みが効かないことを意味している。隣りあう待避駅同士で比較すると,上下線問わず島松~サッポロビール庭園間の数値が大きく,ダイヤ編成上のボトルネックになりがち,と考えられる。
 文字だけだとイマイチ説明が分かりづらいが,要は下の図1のようなダイヤを試しに書いた時の,優等列車同士の時間間隔を整理したものである。
図1:千歳線優等列車最小間隔(案)
 隣り合う区間同士で足し合わせた時に12分程度の値を取る組み合わせ(表1の着色部)を探し出すことが,12分サイクルで特急と快速が交互に出るパターンを組む際の第一歩である。図1を眺めて12分間隔が作れそうなところから抜粋する,というのもアリである。例えば,表1で着色した組み合わせで説明すると,おおよそ
赤色:7分30秒+5分45秒-1分30秒=11分45秒
青色:5分30秒+7分00秒-1分15秒=11分15秒
 間隔で優等列車が走行できる,と計算できる。各パターンを具体的に文字に起こすと,
赤色:島松で快速通過待ち→サッポロビール庭園で特急通過待ち→千歳で快速待ち合わせ
青色:島松で快速通過待ち→北広島で特急通過待ち→白石で快速待ち合わせ
となる。ほかにも探せば組み合わせはそこそこたくさんあるのだが,12分間隔で運転すると特急が快速に追いついてしまうので,上記のパターンを基に組み始め,時間が足りなくなったら同時に2本待避する,という条件で編み上げてみる。すると,

図2:千歳線ダイヤパターン図(想定)
 この図2のようなパターンが得られる。このパターンの上下線を貼り合わせる際は,新千歳空港に快速エアポートが到着してすぐに,快速エアポートが出発することを想定した。次に,下り線の一部列車を平行移動することにより,以下図3のようなパターンも作成できる。
図3:千歳線ダイヤパターン図その2(想定)
 これ以外の考え方でも一見作れそうなものだが,エアポートの停車時間を縮めようとすると折り返しの7分が確保できず,かと言って長くしようとすると千歳~南千歳で快速同士が交錯してしまうため,ほぼこの2通りのパターンしか作れない。偶然にも,札幌貨物ターミナルから苫小牧方面に出発する貨物列車との交差支障も発生しにくい。新札幌駅付近で「札幌を出た貨物列車」と「札幌行きの旅客列車」が平面交差することがしばしば問題視されているが,「苫小牧方面の各駅停車がいない隙にそのスジに乗る」「平面交差は,札幌行きの特急ないし快速が新札幌に停車している間に済ませる」ことで妥協せざるを得ない。「立体交差化すれば千歳線の増発が可能になる」という趣旨の意見をしばしば見かけるが,個人的にはあまり変わらないと考えている。それよりは,白石駅の配線を改良して札幌~白石で走行中追い抜きを実施することで,ダイヤパターンの自由度を上げる方が効果があるように思う。

 ここまで,いわゆる千歳線の札幌~新千歳空港のダイヤパターンを作成することを試みてきた。現況の設備で12分間隔のダイヤパターンを組もうとするとほぼ2通りになってしまうことが分かったため,今後の議論は,このパターン(あるいは,上下線同時にこれを平行移動した形)を前提に進めていこうと思う。

 ※「他にもっと良いパターン思いついたぜ」という方は,ご遠慮なくお寄せ下さい。
 

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