この記事を執筆した直接のきっかけは、2015年2月3日、阿部等氏によって世に出された「【沿線革命017】井の頭線の朝夕ラッシュ時は、「千鳥停車」で大幅にサービス改善!(以下、沿線革命と略す)http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41947」を目にしたことである。詳細は沿線革命本体に譲るとして、「通勤ラッシュ時の所要時間短縮」「通勤ラッシュ時の混雑緩和」を「車両や乗務員の数を増やすことなく」実施できる、ある意味では魔法のようなサービスである。しかしながら、沿線革命017が世に出て以降は(千鳥停車について)具体的に踏み込んだ記述に乏しく、議論が停滞しているように見受けられる。筆者は、こういった議論がもっと活発に行われることを期待し、重い腰を上げて筆(?)を執った次第である。
沿線革命でいう千鳥停車は、簡単に言うと「各駅停車をなくし」「3種類の列車種別(例えば、急行や快速)を作る」ことで、「電車の本数を1時間に約30本から36本に増やす」ことを目指している。沿線革命を参照すると、確かに1時間に36本の電車が走り、吉祥寺から渋谷までの所要時間が(現状の)31分から22分へと大幅に短縮できることになっている。しかし、肝心の「どの電車がどのくらい混雑するのか」「利用者全体で見たらどれくらい時間短縮効果があるのか」が書かれていないので、導入するメリットがいまいち浮かんで来ない。沿線革命に対するコメントとして、どちらかというと鉄道に詳しそうな人たちから批判の声が多いのも、混雑や時短効果に関する分析なり定量評価なりが不十分という事情がありそうな気がしてくる。
そんなわけで、定量評価を目指して筆を進めていこうと思う。こうして執筆している間にも、定量評価に向けた準備はしているので、大体こんなものだろう、という目星はついているつもりである。大雑把にいえば、
1.記事の提案通り、保有する列車の編成数を増やすことなく、1時間に36本の電車を走らせることは可能
2.沿線革命の提案通りに走らせた場合、全乗客でみた利用時間の合計を20%程度削減できる
3.沿線革命の提案通りに走らせた場合、明大前と下北沢の両方を通過する列車が極端に閑散としてしまい、そうでない列車の混雑はかえって激化してしまう
と予想している。
筆者はこの混雑偏在に対し、暫定的な改良を加えた対案を出すこととした。具体的には、停車駅のパターンを変更し、明大前と下北沢を同時に通過する列車のないようにしたものである。こうすると混雑は平準化する反面、吉祥寺から渋谷までの所要時間が1分程度増えてしまう。同様に数値計算について目星をつけると、
1'.沿線革命と比べて所要時間が延びる影響で、1時間に36本の電車を走らせるには、富士見ヶ丘駅での折り返しを増やす必要が生じる
2'.この案では、全乗客でみた利用時間の合計を現状と比べて10%程度削減できるが、沿線革命の提案と比べると削減効果が小さい
3'.この案では混雑の平準化が出来るが、それでも全く均一というわけではない。そのためいわゆる「混んだ電車」の存在を許してしまい、その「混んだ電車」の混雑率は現状とほとんど変わらない
という結果になるだろう、と筆者は推測している。
また筆者は、一部の駅を通過することには(詰まらないように運転できれば)省エネ効果があると考えており、その量をおおよそ以下のように見積もっている。
4.千鳥停車の導入により、走行にかかわる1時間当たりの消費電力量を、約15%削減できる。ただし、冷暖房に関わる消費電力量を減らすことにはならないので、車両全体で見ると削減効果は約10%程度と思われる
総じて見ると、「コイツは何を意味の分からないことを言っているんだ」という内容になってしまったが、次回以降の投稿では、これらを可能な限り詳細に扱っていこうと思う。
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