この記事をお読みの皆様には周知の事実とは思うものの、北海道ボールパークの工事が着々と進んでいる。一方で、ボールパークへの交通手段については未定もしくは未判明の部分も多い。本記事では取り急ぎ、鉄道によるアクセスについて、現時点で可能な範囲で取りまとめていく。
まず、ボールパークへの最寄り駅は北広島駅であり、ボールパークからは徒歩にして約20分を要する見込みである。ボールパーク新駅の計画こそあるものの、開業には早くとも令和9年度(2027年度)末までかかる模様である。また、最近になって概算工事費が当初想定の4割増しとなったことも記憶に新しい。ボールパーク新駅をもっと簡素なつくりに出来ないのか、という声もあろうが、過去に同様の趣旨で記事を起こした際と状況は変わっていない。快速列車が12分間隔で走行し、ボールパーク新駅に各駅停車が停まる場合、特急列車は徐行運転を強いられることになる。上野幌の中線を苫小牧方面に譲る仮定を置く限り、特急を高速走行させるためには、北広島→白石のどこかにもう1か所待避設備が必要となる。こうした背景から、ボールパーク新駅には(西の里信号場を無理矢理復活させない限り)副本線設置が必要となった状況である。本稿では新駅に関しては記事を別建てすることとし、今回はこれ以上の深入りを避ける。
図1:時刻表に記載のある野球臨を、筆者の想定を含め図示したもの。 |
図2 3両編成2本を連結し、1時間近く札幌駅構内に存在する列車があるので、これ(赤枠)を活用することを想定する。 |
図3 札幌20:49着の普通列車(緑枠)はUシートが無いので野球臨に適しているようにも見えるが…… |
図4 緑枠の列車は札沼線に向かってしまうので、その分は手稲から(Uシート有でも構わないので)回送する必要がある(図1で言う回5639M)。赤枠の列車(2816M)に充当するはずの編成はこの時点で白石→苗穂間を野球臨として走行中なので、代わりに手稲行きの回送列車(青枠)を充当することになると想定した。 |
想定内容は図の脚注通りであるから再掲は避けるが、20時以降に札幌駅に到着する列車のうち、なるべくUシートの無い列車を充当することを想定している。なお、図2~図4はてんぽく先生の作品である「札幌駅2022秋」から拝借したものである。
さて、北海道ボールパークFビレッジへの鉄道アクセスについてに記載のある「この他、試合終了時刻にあわせた臨時快速列車を1本運転します。」はどこに留置しておく想定なのだろうか。そもそも、時刻表に記載のある野球臨は北広島駅の3番線(札幌方面の副本線)で折り返す可能性が高い。これは、北広島駅の2番線(苫小牧方面の副本線)がその場での折り返し運転に対応していないこと、島松駅の2番線まで行って戻って来ようとすると1時間で1往復するのが難しいこと、これら2つが原因として挙げられる。ここで、島松駅の4番ホーム(札幌方面の副本線)はバリアフリー工事に起因して閉鎖されており、使用されていないという実態を紹介したい。しかし、筆者がこれまで何度か視認する限り、4番ホームは確かに閉鎖されていても、4番線の線路までは撤去されていないので、「試合終了時刻に合わせた臨時快速列車」は、試合終了まで島松駅の4番線に留置しておくのでは、という仮説を提示したい。なお、北広島駅の3番線は時刻表に記載のある野球臨で埋まってしまっているので、島松駅の2番線はダイヤ乱れ時に普通列車を入線させ、北広島駅の代わりに優等列車を待避するのに使うためにあえて空けておくことを想定した。
図5:北広島駅付近各駅の配線略図及び想定用途。図示したすべての駅で、向かって上側が1番線である。 |
ここまで、いわゆる野球臨を具体的に設定する方法を、筆者なりに想定して記載した。輸送力にして毎時9本×約800人(Uシート有6両編成の定員)=7,200人/hを確保しており、JR北海道にしてはかなりの大盤振る舞いである、というのが筆者の感想である。欲を言えば、普通列車の白石待避は有効列車が減るので避けて欲しかったのが本音であるが……。ただし、北広島市の想定では鉄道の輸送分担率は35%であり、球場が満員になった場合は約13,500人(うち札幌方面11,500人)を鉄道で輸送する必要がある。このような事態が生じた場合は、乗車率が200%近くに達することは想像に難くないし、試合終了直後の列車では収容しきれない可能性が高い。野球観戦しているファンの心情と相反することを前提として書くが、延長戦を制して勝つような試合展開は、鉄道輸送を考えると非常に苦しい、と言わざるを得ない状況のように見受けられる。
なお、バス輸送については「北広島駅までのシャトルバス」「その他の駅までの路線バス」の二つに分けて論じる必要があるように見受けられるし、むしろバス輸送の方が深刻な問題を孕んでいるようにも見受けられるが、筆を改める形で別途取りまとめることとしたい。
2023.03.11追記
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