2022年10月30日日曜日

2022年11月の京急線ダイヤ改正について(1)

 おことわり


 本件は、2022年11月に予定されている京急線のダイヤ改正について、10月30日現在の当方での予測状況を簡潔にまとめるためのものである。

 プレスリリースの記述自体との整合作業は未了であるが、現時点でおおまかにまとまったので画像として掲載する。

 

図1:10月30日時点での妄想結果。

図2:図1の解像度を上げただけのもの。まじまじと眺めたい人向け。

2022年10月16日日曜日

JR東日本トレインシミュレータ(JR East Train Simulator)で遊んでみた(3)

  今回の記事の趣旨は、JR East Train Simulator で運転できる路線のうち、京浜東北線の大宮~南浦和の区間について、最も省エネルギーとなる運転方法について追求することである。本稿では前提として、「等増分消費エネルギー則による運転時分配分を行う」「速度によらず、機器効率は92.5%、ギア効率は97.0%とする」「加速中の架線電圧は列車の位置や速度によらず1350Vとする」「補機(冷房等)による消費電力量は考慮せず、純粋に走行のみに起因するものを対象とする」「回生ブレーキによる負の消費電力量は評価しない(※ブレーキの効きとしては評価する)」「個々の運転曲線は、最大加速→惰性走行→最大減速(1段制動、残り10m程度から多段緩め)を原則とする」を置く。

 では早速、大宮~南浦和の5つの駅間について、消費電力量を縦軸、運転時分を横軸に取って図示する。

図1 縦軸に消費電力量、横軸に運転時分を取った、両者の関係図(いわゆるW-T曲線)

図2 図1を作成する際に用いた運転曲線の一例(さいたま新都心→与野)


 縦軸に消費電力量、横軸に運転時分を取り、運転曲線を複数通り作成した上でプロットすると、傾きが負で下に凸の曲線が得られる。回生電力量を考慮しない場合の消費電力量は、概ね最高速度の二乗に比例する上、最高速度を上げれば上げるほど惰性走行の時間が短くなるので、グラフの左側では傾きが急になる現象がみられる。

 ここでは、大宮~南浦和の運転時分の合計を一定値としたとき、各駅間に何秒ずつ割り付けるのが最も省エネルギーであるかを論じる。この仮定は、「採時駅である大宮駅の発時刻と南浦和駅の着時刻を固定した状態で、各駅に何秒早着(もしくは延着)するのが最も省エネルギーであるか」を論じているのと同等である。「省エネルギーな列車ダイヤ作成のための簡易数理モデル」によれば、図1で言う曲線の接線の傾きがすべて同じとなる状態が、最も省エネルギーな運転時分配分とされる。図1においては、所与の運転時分に対するグラフの傾きを図示したが、大宮~さいたま新都心~与野は傾きが緩やか(運転時分が余る)で、与野~北浦和~浦和~南浦和は傾きが急(運転時分が足りない)という傾向がみられる。これらの傾向を基に、「接線の傾きがすべて同じとなる状態」を再現すると下記のようになる。

表1 運転時分の割り付け変更に伴う省エネ効果。元々の運転時分(※10月3日のアップデート以降)の配分は比較的理にかなっており、割り付けを変更した際の省エネルギー効果は思ったほど大きくはなかった。

図3 接線の傾きが全て同じになるよう運転時分を調整した状態。

 前掲の表1及び図3の通り、運転時分の割り付けを若干見直すことにより、大宮~南浦和の消費電力量は、213.8kWhから210.3kWhへと若干(約1.6%)減少することとなった。あくまで偶然ではあるが、さいたま新都心駅及び与野駅に対する若干の早着・早発が発生することになるので、これを認めてよいかどうかの議論が必要と考えられる。

 次回は、高速域で回生ブレーキ力が不足することに起因する、ブレーキパターンの見直しによる効果について考察する予定である。

2022年10月4日火曜日

JR東日本トレインシミュレータ(JR East Train Simulator)で遊んでみた(2)

  今回筆を起こした背景は、前回記事のリリース後、本シミュレーターの2022年10月3日のアップデートの影響を受け、浦和~南浦和の運転時分が20秒も短縮になったので、ランカーブを慌てて書き直したことにある。

図1: 区間運転時分の変更(2'10"→1'50")に伴う運転曲線の変更

 ノッチオフ速度を43km/hから63km/hに変更した程度で運転時分が20秒も変わるのか、と聞かれると、この図の通り「変わる」というのが答えである。ノッチオフ速度と言うよりは、その先の下り勾配による運動エネルギーの加算により、巡航速度が55km/h程度から70km/h程度にアップする、という言い方が正確かもしれない。

 この区間の運転時分を20秒詰める代わりに、最高速度が1.5倍近くになっている。運動エネルギーを速度二乗で近似すると、2倍近くの消費電力量になると推測できる。もっとも、この区間に関してはアップデート前が遅すぎた説が有力なので、運転シミュレーションとしてみれば妥当な変更だろう。

 この区間の運転時分変更に伴う、大宮~南浦和の各区間への所要時間の割り付け方に関する方向性の考え方については、今後の課題とする。


 閑話休題 このシミュレーターは、バグなのか不明だが逆走が可能である。逆走は駅を平然と通過できるので、例えば浦和→大宮の中距離電車を逆向きに眺めた結果を近似的に再現できる。この際の運転曲線の、実測値と当方で考える理論値を図示したのが以下のグラフである。

あとがき ところで、このゲームのリリース以来、掲示板では様々な議論が交わされているものの、浦和~南浦和で運転時分が余る、という報告は上がっていないと認識している。同区間の運転時分は、いったい何をきっかけに見直すことになったのだろうか……?

図2: 浦和→大宮を逆走して得られた結果。走行抵抗に若干の過小(70km/h付近)・過大(100km/h付近)の見積もりが見られると思われる。今後、これらの整合を取るための走行試験が必要と思われる。



2022年9月25日日曜日

JR東日本トレインシミュレータ(JR East Train Simulator)で遊んでみた(1)

 令和4年9月20日のこと、「JR東日本トレインシミュレーター」がリリースされた。 記事執筆時点でプレイ可能な路線は、京浜東北線の大宮→南浦和の区間と、八高線(+高崎線)の高崎→群馬藤岡の区間である。この記事をご覧になる前に遊びたいという方は、さっそく下記のリンクからアクセスいただきたいものである。

https://store.steampowered.com/app/2111630/JR_EAST_Train_Simulator/

 「トレインシミュレーター」シリーズは、向谷実氏が社長を務める「株式会社音楽館」が開発を担当している。過去に発売された作品は、実在の路線を撮影した動画を基に作成されており、電車でGO!!シリーズのように路線自体をCGで再現するものとは根本的に作り方が異なっている。アーリーアクセス版ということで、ゲームの作り込み度合いとしては、改善可能な箇所が多数残されている状態ではあるが、筆者はこの作品が発売にこぎつけたことを高く評価したい。

図1:与野~北浦和で車両性能をひたすら測定しようとする筆者。この区間で73km/hも出すと大幅に早着する。

 さて、筆者がこの手のゲームを入手してすぐに行うことは、まず何度も走らせたうえで車両性能を測定し、理論値との答え合わせを行うことである。今回は京浜東北線のE233系1000番台を対象としたが、思った以上に整合性があることが判明したので、まずはお伝えしたい。

図2:加速する様子を録画してコマ送り再生した上で、横軸に速度、縦軸に加速度×速度二乗を取ったグラフ。理論上は、特性領域で横一直線になる

 列車の加速運動は、発車してからある程度の速度までは等加速度運動で近似できる(①)が、力(N:ニュートン)×速度(m/s)で求められる出力(W:ワット)の制約から、ある一定の速度以上では、出力が一定(つまり、力-加速度は速度に反比例する)になるよう制御される(②)。さらに、ある程度速度が出て来ると、電動機は一切制御されない状態となり、力-加速度は速度の二乗に反比例する(③)ようになる。詳細は運転理論の教科書に譲るが、概ね以下図3及び表1のような関係になる。 

図3:いわゆる速度-引張力曲線の模式図

表1:各速度領域の特徴

略称低速域(①)中速域(②)高速域(③)
通称・トルク一定領域
・VVVF制御(電圧、周波数の双方を制御)
・パワー一定領域
・定電力領域
・すべり加減制御
・特性領域
旧型電車での呼称・抵抗制御
・直並列制御
・弱め界磁制御・特性領域
列車運動の特徴・概ね、等加速度運動で近似できる・加速度が、概ね速度に反比例する・加速度が、概ね速度の二乗に反比例する
※旧型電車の場合、磁気飽和曲線の制約から、この比例関係は割と不正確である。
エネルギー消費の特徴・電気抵抗を回路に挟み込んで制御するため、エネルギーの一部は熱として捨てられる(抵抗制御)
・直流から任意の正弦波を取り出して制御するため、車両側でのロスは小さい(VVVF制御)
・主回路電流が相対的に大きいので、回路の内部抵抗によるロスが相対的に大きい
・逆起電力の増大に伴い、回路のロスは速度が上がるとむしろ下がる
電流・一定になるよう制御する・主回路の界磁電流もしくは界磁の長さを減ずる(弱め界磁制御)
・一定になるよう制御する(すべり加減制御)
・理論上は、速度に反比例して下がる
電圧・回路に挿入する電気抵抗を少しずつ小さくすることで、端子電圧が少しずつ大きくなるよう制御する(抵抗制御)
・電圧V/周波数Fが一定になるよう制御する(VVVF制御)
・結果として端子電圧は概ね速度に比例する
・一定になるよう制御する(架線電圧がそのまま印加される)
・一定になるよう制御する(架線電圧がそのまま印加される)
制約の物理的要因・鉄輪の摩擦限界による上限・電動機の冷却性能(いわゆる連続定格、1時間定格)による上限
・電動機の特性による上限

 今回、「JR東日本トレインシミュレーター」で用いられている車両の性能を細かく調べたところ、業務用シミュレーターだからかどうかは分からないが、思った以上に表3や図1の関係性が再現されていることが分かった。筆者はこれまで、省エネルギーな列車運転の方法論について過去に記事(例えば、計画停電を防ぐ「節電ダイヤ」の方向性について(1))を起こしているが、シミュレーターが実際の物理現象を(ある程度、という但し書きは付くが)再現しているとすれば、シミュレーター上で省エネ運転を検討する際にも非常に有用である。

 上記の記事では、「運転時分を最速から5秒程度増やすと2割程度の省エネが実現できる」という書き方をしているが、本シミュレーター(のうち、少なくとも京浜東北線の大宮→南浦和)で設定された運転時分は、最速から15秒近く余裕を持って設定されており、突き詰めて運転すると運転時分が異常なほど余る。そこで筆者は、設定された運転時分を使い切れるようなランカーブを設定するため、大宮~南浦和の全5区間に対し、以下のような図を用意した。

図4:大宮→さいたま新都心間の運転曲線。速度制限が解除されても、大して加速する必要は無さそうだ。

図5:さいたま新都心→与野の運転曲線。与野駅手前の上り勾配で結構速度が落ちるので、速度選択は慎重に行いたい。

図6:与野→北浦和の運転曲線。この区間は勾配が少ないので、車両性能を測定するのに適している、と筆者個人的には思う。

図7:北浦和→浦和の運転曲線。この区間の余裕時分は(他の区間に比べると)少ないが、浦和駅手前の上り勾配で速度を失いやすい上、その割に惰性走行の区間が長いので、速度選択は慎重に行いたい。

図8:浦和→南浦和の運転曲線。採時駅(南浦和)の手前だからか、余裕時分が長めに取られている。出発してすぐに下り勾配があることもあり、速度選択は慎重に行いたい。

 このE233系1000番台は全体的にブレーキが強い。特に常用最大ブレーキ(B8)は、40km/h以下では非常ブレーキのカタログスペック(5.0km/h/s)よりも明らかに強いブレーキがかかる。ほぼすべての区間では90km/hまで加速しても停車できるほど強力なブレーキを備えている模様だが、裏を返せば余裕時分が異常なほど長い、ということでもある。運動エネルギーが単純に速度の二乗に比例するとして、上記のランカーブで消費するエネルギーは、全区間で90km/hを出した場合と比べて、半分程度に抑えられるものと思われる。
 余談ではあるが、京浜東北線に209系を投入する際に「この電車は、従来の電車の約半分の電力で走行しています」などと省エネをうたい文句にしていた。隣を走る山手線は一周を60分にするために、E231系500番台を投入した際に運転時分を相当に詰めているのとは対照的である。これに加えて、シミュレーターはホームドア設置前の動画を基に作成されている。これらの事情を考慮すると、京浜東北線の運転時分には余裕時分が多めに含まれていても不思議ではない。京浜東北線にホームドアを設置する際、運転時分をどのように措置したのかは気になるところではあるが。

 今回、せっかく物理現象を比較的正確に再現できるシミュレーターが、だれでも入手できる形で公になった。この機会を最大限に生かすためにも、以下の課題にも積極的に取り組んでいきたいと考える。ただし、主に運転曲線の錬成と実際の運転練習に多大な時間がかかることが予想されるので、機会を改めることにしたい。

課題1:大宮→南浦和の運転時分合計値を最適に配分する方法について
 今回のケースでは浦和→南浦和の運転時分が特に余りがちなので、手前の区間でわざと遅れを出すことで、トータルでの消費エネルギー削減を図ることになる。詳細は「等増分消費エネルギー則」を参考にされたい。

課題2:回生ブレーキの空制補足について
 一般的な傾向として、同じ運転時分ならなるべく強いブレーキを用いた方が省エネルギーになることが知られている。強いブレーキを用いた方が早く停まれるので、そのぶん最高速度を下げられるためである。
 一方で、回生ブレーキはモーターを発電機として用いるものであるから、速度が上がると有効な加速度(ブレーキなのでマイナス)の大きさ(要するに、ブレーキの効き)は小さくなってしまう。この不足分は摩擦ブレーキで補うことになる。これを本稿では「空制補足」と呼ぶことにする(※「遅れ込め制御」と呼ばれている場合もある)。
 本シミュレーションの場合、基準となる運転時分があまりにも長いため、空制補足をあえて使わないように運転する方法が考えられる。具体的には、図9の通り、多少最高速度を上げても、空制補足分を減らした方が有利なケースは十分に考えられる。
図9:北浦和→与野の運転曲線(図6)と同じケースに対し、縦軸にパワー/質量を、横軸に時間を取って図示した。グラフ上の面積は(単位質量当たりの)消費エネルギーを意味する。



2022年5月7日土曜日

西九州新幹線のダイヤについて(1)

  西九州新幹線(武雄温泉~長崎)の開業が令和4年9月23日に予定されている。これを受けて本記事では、具体的にどのような列車運転計画が作成されるか、予測を試みることにする。まず最初に、ダイヤを予想する上で最も決め手となりやすい「博多駅における新幹線の着発時刻」に着目した上で、以下の図を作成する。


図1:博多駅付近パターンダイヤ図

 図中で小さく表記された数字は「毎時N分」を表し、駅に近い側が到着時刻、遠い側が発時刻である。博多~鳥栖の普通列車や快速列車が毎時3本を基調に組まれていることから、特急列車は20分ずつの等間隔に3本配置するのが理想と想定すると、図1のような特急列車設定用の「枠」が上下3つずつ設定できる(※所要時間は最も速いかもめ号を想定した)。これらのうちどれを佐世保線系統に割り振るかで、上り3通り×下り3通りで計9通りの組み合わせが考えられるが、本稿ではまず、新幹線との接続関係が上下線で対称であると仮定する。すると、上図の枠A・枠B・枠Cのいずれか1個に対し、佐世保線方面の特急列車を割り当てることで、ダイヤの概略形を定めることが出来る。本稿では、上記の枠B(緑色)に対して佐世保線特急を割り振ることを想定し、具体的なダイヤ図に落とし込んでいく。理由は以下のとおりである。

・リレーかもめ号の武雄温泉駅折り返し停車時間が最小(12分)になる。佐世保線特急は武雄温泉駅付近での行き違いが想定されるため、その際に武雄温泉駅で必要となるホームの数が少なくできる。

・新幹線の最速達列車を枠A、各駅停車を枠Cに割り振ると、接続関係のバランスが比較的良い。

図2:佐世保線特急を枠Bに割り振ることを想定したダイヤ図

 ご覧の通り、枠Aに最速達列車を割り振ったことで、山陽新幹線からの接続を最も所要時間の短い形で受けることになる。博多~長崎の所要時間は枠Aで約89分、枠Cで約96分であり、そのうち在来線特急が59分、乗り換え時間が3分である。一方で、長崎県のホームページには博多~長崎が最速1時間20分と表記があるし、武雄市のホームページには博多~武雄温泉が最速1時間6分と表記があるし、自治体によってずいぶん書いてあることが違う模様である。本稿では、前者は諫早駅の通過を想定していること、後者はリレーかもめの使用車両として783系を想定していることを原因として推測する。
 さて、ここで多少話題がそれるが、今から20年ほど前のダイヤ改正時点の情報を用い、図1同様に九州全体を図示すると図3のようになる。
図3:九州全体パターンダイヤ図(2001年)
 2001年は、九州の在来線特急用車両が概ね出揃った時期である。まだ新幹線が博多までしか開業していないが、現在から見ても非常に精緻なパターンダイヤが組まれている印象を受ける。かもめ号が毎時2本走っていた時期に、うち1本に対して885系が新しく投入されてから間もない頃のダイヤだが、博多~諫早を僅か90分で結んでおり、令和4年5月現在と比べても10分弱早く到着する。一方で、図2をよく見ると、枠Cにおける博多~諫早の所要時間は約85分である。
 現在、かもめ号は1時間に1本しか運転されていないが、この理屈から行くと輸送力は枠C(武雄温泉~長崎で各駅停車)だけで足りてしまう公算となる。ところが、博多~諫早の所要時間で885系登場時(90分)と枠C(新幹線区間で各駅停車、85分)とを比べると僅か5分しか差がつかず、西九州新幹線の正当性を大きく揺るがす懸念がある。さらに、枠Cに783系を割り当てると博多~諫早の所要時間が90分を超えてしまい、「従前の特急より遅い」という批判すら来かねない。このため本稿では、開業後数年間は仮に乗車率が低迷し「空気輸送」と揶揄されようと、枠Aのスジを削減せず、毎時2本(枠A、枠Cいずれも)運行するものと想定せざるを得ない。また、枠Cのリレーかもめの車種として885系を想定したのも、博多~諫早で20年前のかもめ号に抜かされないことを念頭に置いたためである。
 
 ところで、令和4年4月28日付けでJR九州から発出されたプレスリリースによると、現時点での時刻表案が各駅に掲示されている模様である。インターネット上に出回っている画像(特に、肥前山口駅の下り線と、肥前鹿島駅の上り線のもの)を参照する限り、昼間は下り線が枠B、上り線が枠Cを使用している一方で、夕方は下り線が枠A、上り線が枠Bを使用している模様である。「新幹線との接続関係が上下線で対称」という上記の仮定を崩せば、例えば「下り線の枠C、上り線の枠Aが佐世保線特急である」のような仮定を置くことで、時刻表案と整合の取れるダイヤ図を作成できると考えられる。「新幹線との接続関係が上下線で対称」という仮定を崩した場合のダイヤ図は機会を改めて別途作成することとする。

2022年3月26日土曜日

函館線(函館・小樽間)について(5)

  本日、小樽~余市のバス転換に道、小樽市及び余市氏が同意したとの報道があった。この区間の存続をめぐっては、余市町長が存続を再三主張してきただけに、その出方に注目が集まっていたところであった。

 余市町は、「輸送手段の確保を条件に」協議を進めてきたものの、「迅速さや大量輸送と言った利便性の確保と交通拠点の整備について、道の確約が得られた」として合意した模様である。

 当方では、この区間の存続に向けて可能な方法を探ってきたが、どれも厳しいことが浮き彫りになった中での廃線であり、非常に残念であるというのが率直な感想である。

 現時点では、以下の点が課題として残っているように見受けられるので、今後はこれらの点を中心に筆を進めていきたい。

・朝ラッシュ時における輸送力不足及び渋滞対策について

・倶知安町における廃線前倒し案について

・長万部以南の存廃議論に向けた新たな事業スキームについて

・↑に付随して、785系引退後のすずらん号のあり方について

 廃線の方向性がほぼ決まった関係で、筆の進みが遅くなることは否めないが、今後ともお付き合いいただければ幸いである。


2022年3月23日水曜日

電力需給逼迫警報について(1)

 2022年(令和4年)3月22日を中心に、制定以来初となる「電力需要逼迫警報」が発動された。主たる原因として「(3月16日に発生した)地震による多数の火力発電所への被害」「低温に伴う電力需要の増加」「悪天候に伴う太陽光発電の実績低迷」はほぼ間違いないと考えられるが、これ以外の原因については、報道各社ごとに異なるものを挙げている状況である。

 そこで本稿では2022年(令和4年)3月23日の新聞(朝刊)を対象に、要因として挙げられている事項について、報道各社での相違について考察したいと思う。まるで中学生の国語の宿題のような筆の進め方であるが、筆者が中学校で国語の教師から出された課題がこの構想の発端であるため、その辺りは割り切って目を通していただければ幸いである。

 なお、下記のA新聞~F新聞は、在京の売店において容易に購入可能である「朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞、産経新聞、東京新聞、読売新聞」のいずれかを指すものとする。どれがどれに該当するか、類推しながら読み進めていただくのも一興と考え、あえてこのような形を取ることにする。

表1:3/23朝刊における各項目への言及有無(△:触れた程度、×:反対意見)
項目A新聞B新聞C新聞D新聞E新聞F新聞
地震による火力発電所の停止○○○○○○
悪天候による太陽光発電の出力低迷○○○○○○
気温の低下による暖房需要の増加○○○○○○
警報発令の遅れ、見通しの甘さ◎◎◎○○
電力会社間の相互融通能力不足△△◎◎
原子力発電所の稼働不足○×○◎○
大需要家の対応遅延◎△
揚水発電容量の枯渇◎○△
老朽火力の廃止

◎○


 表1で挙げた個々の要因の中で、新聞社間で大きく差がついているのが「原発」の部分であり、その特徴故に、どれがどの新聞なのか、半ば浮き彫りになっている。これらの特徴を基に、各新聞記事に対する良し悪しを筆者の独断と偏見によって評定したのが表2である。

新聞社評価点課題点総評
A新聞・故障火力発電所の一覧有
・家庭での節電策が充実
・節電する市民の苦境を掲載
・原因分析が無いに等しい・市民としての節電協力に対し、共感を得たい読者に適する
・問題意識を持って読むには適さない
B新聞・電力自由化に伴う老朽火力の退出を記載
・故障火力発電所の一覧有
・京急線の一部運休(ウィング号)に触れている
・課題提起が総じて中途半端
・原発再稼働に対するスタンスも中途半端
・50Hz-60Hz間送電能力不足の記載無
・多方面に課題提起しているのは良いが、方向性が見えない
・純粋な情報収集向けだが、紙面の広さでE新聞に劣る
C新聞・大需要家の協力が遅かった(午前中の節電効果が低かった)ことに言及
・揚水発電の原理を図示
・今回の事象がkW(パワー)でなくkWh(エネルギー)不足であることを理解して書かれた痕跡がある
・反原発の記述に定量的な根拠が無い
・列車の間引き運転を提案。いきなり列車削減を論じるのは大変大きな誤りである
・揚水発電を「だぶついた」電力と表記しているなど、総じて記事内イデオロギーの整合性が低い
・揚水発電容量や大需要家の協力遅延等、独自の着眼点は優れている
・しかし結論ありきの編集によって上記の長所が台無しになっている
D新聞・原発の再稼働に触れつつ、50Hz管内での再稼働がほぼ出来ない前提で書かれており、比較的実現可能性のある提案になっている
・揚水発電の残量に関する記述がある
・1面に記事を載せない
・警報発令が遅延したことに全く触れていない
・50Hz管内の再稼働が無い前提は、コア読者の共感をむしろ得やすいのでは?
・警報発令遅延に触れなかった理由が謎
E新聞・この事案に対して大きな紙面スペースを確保しており、原因として挙げている事象の数も多い
・家庭での節電策を記載するスペースを割ける
・揚水発電の残量に関する記述がある
・原発の周辺住民(特に柏崎刈羽)の感情を逆撫でする懸念が大きい
・揚水発電が蓄電池であることを十分理解せずに書かれており、原発との相性の良さに触れていない点は非常に残念
・紙面が広い、その一点だけでも大いに価値を見出せる
・原発再稼働の主張のあまり、冷静さを欠く記述が散見される
F新聞・企業の自家発電への切り替え、売電に関する記載が充実、具体的な数字もある(68件に自家発電の出力増強を打診して15件から了解を得て23.5MW相当)
・午後3時以降の節電効果が高かったこと(≒午前中の節電効果不足)を認めている
・原発再稼働を課題に挙げながら、電力会社間の相互融通に一切触れていない
・企業の取り組みを数値化し掲載したことは大きい
・原発再稼働が「主張しただけ」になっているのは課題
総合・一長一短であるため、単純に情報源は多いほうが良い・供給力100%のうち何%が揚水発電なのか、東電が提示しているにも関わらず6社とも記載が無い
(D新聞以外)全社が挙げている警報発令遅延については、今後の掲載が待たれる

 正直に言って一長一短であるため数値での採点は避けるが、どの社も記載していない「供給力100%のうち何%が揚水発電なのか」については、機会を改めて考察することにする。


追伸
「新聞は複数誌を読み比べるもの」と、お金のない中学生の私に切々と説いた国語の先生は今もお元気だろうか。