2026年1月7日水曜日

のぞみ号の増発・毎時13本運転に向けた事前考察(1)

  過去、のぞみ号の増発・毎時12本運転に向けた事前考察 及び のぞみ号の増発・毎時12本運転に関する事後考察 と題して、何度か記事を書いてきたが、2026年3月改正にて毎時13本に増えるというプレスリリース(2025年12月12日付 2026年3月ダイヤ改正について)が具体化したことから、形を具体化することを試みる。

 では早速、現時点で当方で想定している形で図示したいと思う。

図1:のぞみ13本想定ダイヤ(2026年3月時点)
図1:のぞみ13本想定ダイヤ(2026年3月時点)

 現行ダイヤとの間の変更点を大雑把に書き出すと、「小田原or豊橋に停車するひかり号の停車時間、通過待ちパターンの変更」である。ここまでは、すでに既知の情報である(例えば、枝久保達也氏もはや執念すら感じる…「のぞみ」最大1時間13本、“超過密ダイヤ”が実現できたワケ)ため説明を割愛する。ここからは、賢明な読者の皆様のご質問として代表的なものであろう、「なぜ2020年3月にのぞみ号を毎時12本にした時点で実現できなかったのか?」に可能な範囲で応えるべく、筆を進めていく。

 のぞみ号を毎時12本にした時点で、「東京駅の折り返し能力向上」「こだま号をN700系に統一」という大きな変更点があった。しかし今回の場合、目立った変更点が特に見当たらないのに、なぜ毎時1本分のスペースを確保できたのだろうか?プレスリリースをよく見ると、次の記載がある。具体的には、「1時間あたりの「のぞみ」の最大運転本数を12本から13本に増やします。また、東京~新大阪間2時間30分運転の「のぞみ」の一部列車で所要時分を短縮し、2時間27分運転の「のぞみ」を増やします。」だ。スピードアップと本数増を両立するとなると、一番足が遅い列車において、所要時間を短縮したのでは?という仮説が勝手に浮かび上がるものである。そこで試しに、図1と同じ条件で、現行ダイヤを図示してみたのが図2である。

 

図2:現行ダイヤ(2025年3月改正)の想定形を、図1と同一の条件で描画したもの

 図2の中で、こだま号やひかり号の停車時間が、図1と比べて不自然に余っている箇所が、何か所か見当たるであろう。具体的には、こだま号の新富士駅、浜松駅、三河安城駅及び米原駅だ。つまり、のぞみ13本ダイヤが可能になったのは、こだま号の所要時間を短縮したため、が原因で相違ないはずだ。

 では具体的に、何がどうなったのだろうか?のぞみ号を毎時1本増やすには、こだま号が1時間走る間に3分短縮しなければならないはずだ。原因として当方で想定している事象は以下の3つである。

 ㋐:こだま号の運転時分短縮、言い換えれば加減速に要する時間の削減。のぞみ号と比べた場合、1駅停車あたり(停車時間を除き)従前4分00秒増であったものを、3分30秒増に短縮。

 ㋑:のぞみ号同士の列車間隔の短縮。従前2分30秒であったものを、2分00秒に短縮。

 ㋒:掛川駅における追い込み時隔の短縮。

 のぞみ号を1本増やすには、㋐㋑のいずれか一方で成立する。あるいは、㋐㋑半分ずつというのもあり得る。当方の過去記事にて、2020年3月時点で、㋐㋑両方使いきったのではないか、という記載をしたが、その記載は誤りであった可能性が高いことをここで認めたい。どうも、㋐㋑のうち一方か、㋐㋑半分ずつを、いまだに使っていなかったのではないか?と考えられるのだ。当方で2020年3月改正以降、のぞみ号を2本連続で通過待ちするのを観測した際、大半ののぞみ号同士の間隔が2分30秒以上取られていて、遅れたときだけ2分を下回っていたのを考慮し、㋑のみを理由として毎時13本に増発したことを想定し、現行ダイヤの図を書き直したのが図3である。

 

図3:現行ダイヤの想定形

 差が非常に分かりにくいが、若干スジが寝ていることがお分かりいただけるだろうか?

 ところで、㋒は追い込み時隔が元々1分30秒程度しかないことを考えると、どう頑張って短縮してものぞみ1本分に満たないと考えられるが、あえて要素として挙げている理由は、2026年改正ダイヤにおいて、通常はのぞみ号に2本連続して抜かされるところ、掛川駅だけ1本に統一されているように見えるためだ。若干無理のある仮定ではあるが、掛川駅での短時間での待避を「魅せる」ダイヤをあえて選択したように見えるのである。

 いろいろと無理のある仮定を置いたが、これ以上の考察は、新ダイヤに関する情報がもう少し具体的に出回るのを待ちたい。

図4:図3→図2→図1の順でループ再生したGIFアニメ


2025年8月9日土曜日

定期乗車券の割引率について(5)

 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)による、2026年3月に実施予定の上限運賃値上げが認可申請どおり実施されることとなった。
   

 主たる話題は、単なる値上げにとどまらず、『「電車特定区間」・「山手線内」の運賃区分を「幹線」に統合』『オフピーク定期券の対象エリアを拡大』『通学定期運賃は据え置き』が占めているように見受けられるが、何が何パーセント値上がりするのかを細かく分析した報道・記事が少ないように見受けられたので、「電車特定区間で40km以下の区間の、紙切符運賃及び通勤定期券」に的を絞って図示してみたいと思う。

図1 東京電車特定区間における2026.3運賃改定での値上率((改定後(幹線)÷改定前(東京電車特定区間)-1)×100)
 
 この図によると、「①運賃自体の値上げ」「②東京の電車特定区間の廃止による実質的な値上げ」もさることながら、「③通勤6ヶ月定期が、近距離ほど顕著に値上げされている」、という状況が明らかとなる。
 筆者は従前の記事にて、「(JR線では)6ヶ月通勤定期が1ヶ月通勤定期の4.8倍」と記載したことがあるが、このような状況に変化があるものと考え、「6ヶ月定期÷1ヶ月定期」の値が、どのように変化するのか調べてみた。

 
図2 東京電車特定区間(40km以下)における運賃(紙切符)及び通勤定期券の価格比較表

 値上げ前の値を見ると、多少ばらつきはあるが概ね「6ヶ月通勤定期が1ヶ月通勤定期の4.8倍」という状況は概ね成立している。しかしながら、2026年3月以降の値を見ると、必ずしもこれに縛られなくなっている。さらに、近距離はほぼ5.4(大手私鉄とほぼ同じ値)、遠距離はほぼ4.8(値上げ前とほぼ同じ値)に設定されており、6ヶ月定期のうち、特に近距離の割引率を大幅に見直したことになる。

 本稿でも繰り返すように指摘してきたが、わが国において通勤定期券の代金を実質的に負担しているのは、「通勤手当」という形態で企業であることが一般的である。したがって、通勤定期券の割引率に手を加えた際に損失を被るのは労働者ではなく使用者である。JR東日本は、値上げへの理解を求める記載を行ってはいるものの、理解を得るべき対象は、個人ではなく企業である、と言えるのではなかろうか。オフピーク定期券は、従来は東京の電車特定区間に限り設定されていたが、東京の電車特定区間の廃止に伴い、オフピーク定期券の取り扱い範囲拡大が可能となっている。電車特定区間をそのためだけに廃止したようには見えないものの、6ヶ月通勤定期の「近距離の」割引率見直しと同時にオフピーク定期券の取り扱い範囲を拡大している。2026年3月の運賃改定は、定期券代を事実上負担している企業(使用者)に対し、「値上げ受容」と「働き方改革」の二者択一を迫る内容となっていると考えられる。実態として「働き方改革」というより「働かせ方改革」のような気がしてならないが。。。

 なお、これは個人の意見であるが、JR東日本管内で、長距離通勤に対してオフピーク通勤を奨励することには懐疑的である。なぜなら、過去記事にも同様の記載をしたが、オフピーク(特に、6時台)の本数が、中距離電車において少ないためである。割引率見直しが近距離に集中している理由は、他社との競合も主たる理由であろうが、オフピークの輸送力に関しても、理由として無視できないものと推測する。

 ところで、遠距離の割引率を据え置きつつ、他社との競合区間に設定された「特定区間」の見直しも併せて行っている。具体的には、「渋谷~桜木町」のように、実態として特定区間として機能していないものを見直すようである。この見直しにより、特定区間の数は減少するものの、「品川~横浜~逗子」「渋谷~横浜」「渋谷~吉祥寺」「新宿~八王子・高尾」「東京~西船橋」など、主たる競合区間には継続して設定される予定である。とはいえ、この特定区間は上限運賃とは異なり届出制であるためか、「認可後に届出予定のため、詳細は別途お知らせします」と記載があり、これらの区間の定期券運賃同士を比較することまでは、現時点では難しい。割引率の見直しにより競合他社が最安にならないよう配慮した価格設定が想定されうるが、詳細は結果を待つこととしたい。





 末筆にはなるが、筆者の体力的な都合により、このような形で記事を公開することは、今後難しい状況である。いつの間にか発刊されなくなる、という事態を防ぎたく、本稿が事実上最後になる可能性が高いことをここにあらかじめ記しておきたい。

 乞い願わくは、読者の皆様から新たな情報発信が行われることを期待したい。また、本記事がしばしば対象としてきた「列車の運行計画」「ラッシュ時の混雑緩和」に際して、真にあるべき人材が、真にあるべき組織に所属することこそ、本記事が目標とするところであり、その実現に少しでも寄与できていれば幸いである。

2023年3月21日火曜日

北海道ボールパークへの交通アクセスについて(2)

  前回記事を投稿して以降、北海道ボールパーク付近に設置する新駅設置費用の高騰に伴い、位置をずらす選択肢について報道があった(JR北綿貫社長 新球場隣の新駅、「場所をずらすことも含め検討」…費用の増大に北広島市議会が難色を示し)。これを受けて、西の里信号場が俄かに話題に上がったこともある(例えば「西の里信号場復活か…?」)。筆者としては、西の里信号場とボールパークとの距離が約2㎞もあり、北広島駅とさして変わらない位置に新駅を作る意義が薄いようにも思えるが、ボールパーク新駅の機能のうち、列車の追い抜きを西の里信号場に持たせる選択肢までは否定できないと考える。

 本稿では、西の里信号場が機能を開始した平成4年(1992年)頃の計画にに立ち戻り、なぜこの信号場を設置したのか、推測を試みることにする。

 まず早速だが、千歳線の配線図が現況とほぼ同じ形になった平成6年頃の配線図及び当時考えていたであろう用途を図示する。

 

図1:平成6年(1994年)ダイヤ改正時点での千歳線の配線概略及び想定用途図

 平成6年といえば、スーパー北斗がデビューした時期であり、JR北海道が千歳線での特急列車高速化に対し、最も意欲的であった時期と言って差支えなかろう。この頃すでに、711系を千歳線の普通列車から(朝ラッシュ時を除き)撤退させるなど、千歳線の輸送力を限界まで高めようという方針が垣間見える。一方で、貨物列車はDF200形ディーゼル機関車の生産が始まったばかりで、すぐには貨物列車を高速化できる状況ではなかった。このような状況下で、千歳線に副本線を持つ駅を増やす計画を立てたということは、特急列車(スーパー北斗)と貨物列車との速度差が最も大きかった時期に立案されたと言えよう。当時の速度差を可能な限り再現するとともに、それを当時のダイヤパターンに落とし込むことを念頭に置いて作成したのが図2である。

図2 平成6年(1994年)当時の、各待避設備の用途を想定するための仮想ダイヤ。

 図1は、図2の16時15分ごろ及び16時45分ごろを念頭に作成した図である。特急列車(青色)と貨物列車(一点鎖線)との間の速度差は、特に新札幌~北広島で顕著に発生していることが見て取れる。新札幌→北広島の約11kmを、特急列車(※当時は、新札幌駅を通過)は約5分半(平均120km/h)、貨物列車は約13分(平均50km/h)かけて走行することとなり、これだけ大きな速度差と所要時間差とを念頭にダイヤを組む苦労が偲ばれる。このような状況下では、上野幌~北広島の8kmにも及ぶ駅間に、信号場を設置したいという発想は決して不自然ではないだろう。
 一方で、信号場を増設するにあたり、どの信号場にどの役割を持たせるかは、様々な選択肢が考えられる。図3は、昭和60年頃(1985年頃)を念頭に、図1と同様の配線図として作成したものである。

図3:昭和60年(1985年)頃を念頭に作成した千歳線の配線図(一部推測を含む)。

 昭和60年の時点で、北広島駅の線路附番規則は現在(札幌方面が3・4番線)とは反対向き(札幌方面が1番線)であった上、現1番線(当時の4番線)はまだ無かったのである。北広島駅の現3番線(当時の2番線)が、上下線どちらからでも出入りできる構造になっているのは、現1番線増設前の名残と考えられる。
 上野幌~北広島に信号場を増設するにあたっては、上下線どちらも(貨物列車が入線できるほど長い)待避線があるのが理想ではあるが、北広島駅は現1番線を増設したばかりであるがために、西の里信号場の副本線(苫小牧方面)が電車6両分程度の短い待避線にとどまったものと推測する。一方で、白石駅の副本線が札幌方面の列車のみに割り当てられている関係で、上野幌駅の副本線をなるべく苫小牧方面の列車に割り当てたいがために、西の里信号場の札幌方面の副本線の有効長は長く取られているものと推測する。
 
 ここまで、西の里信号場の設置当時の経緯を、少しでも具体的に推測することを試みてきた。生まれ変わったばかりのJRが、ある意味で景気が良く勢いのある時代に設置した設備であると言って差支えないだろう。

 さて、2013年に大沼駅構内で発生した貨物列車の脱線事故を契機に使用頻度の低い副本線が使用停止され、西の里信号場もその対象となったものと思われる。リンク先の写真がその状況を物語っているが、2017年4月の時点で、分岐器が撤去されているようである。一方で、筆者が過去に起こした記事「札幌駅の配線について考えてみる(4)」曰く、2017年6月の時点で、快速エアポートを毎時5本に増発するための車両発注計画はすでにあったようである。2017年の春の時点で、上野幌~北広島に新球場を設置する計画がどこまで具体化していたか、それをJR北海道に相談していたかどうかは、新駅の費用負担を論じる上で重要な分岐点である。一方で、日本ハム球団が新球場構想のための具体的な検討に入ったのは2016年12月である(2016年12月19日付スポニチアネックス記事)。その直後に、北広島市が日本ハム球団に対し新駅の設置を含む新球場計画を提案している(2016年12月20日付北海道新聞記事(写し))。
 上記の通り、「快速エアポートの毎時5本への増発」「日本ハム球場の北広島への移転案の浮上」「西の里信号場の副本線撤去」はほぼ同時に発生したものと思われる。従って、これらの時系列を外部から正確に把握することは事実上困難である。とはいえ、新球場を北広島市に移転することが決まったのはその1年以上後であるから、この時点で先に決まっていた西の里信号場の副本線撤去及びエアポート毎時5本化を踏まえ、その差額(ボールパーク新駅の設置+北広島~白石のどこかへの待避設備設置)に相当する費用を原因者(球団ないし新球場を誘致した自治体)が負担するのは、自然なことではなかろうか。

2023年3月9日木曜日

北海道ボールパークへの交通アクセスについて(1)

  この記事をお読みの皆様には周知の事実とは思うものの、北海道ボールパークの工事が着々と進んでいる。一方で、ボールパークへの交通手段については未定もしくは未判明の部分も多い。本記事では取り急ぎ、鉄道によるアクセスについて、現時点で可能な範囲で取りまとめていく。

 まず、ボールパークへの最寄り駅は北広島駅であり、ボールパークからは徒歩にして約20分を要する見込みである。ボールパーク新駅の計画こそあるものの、開業には早くとも令和9年度(2027年度)末までかかる模様である。また、最近になって概算工事費が当初想定の4割増しとなったことも記憶に新しい。ボールパーク新駅をもっと簡素なつくりに出来ないのか、という声もあろうが、過去に同様の趣旨で記事を起こした際と状況は変わっていない。快速列車が12分間隔で走行し、ボールパーク新駅に各駅停車が停まる場合、特急列車は徐行運転を強いられることになる。上野幌の中線を苫小牧方面に譲る仮定を置く限り、特急を高速走行させるためには、北広島→白石のどこかにもう1か所待避設備が必要となる。こうした背景から、ボールパーク新駅には(西の里信号場を無理矢理復活させない限り)副本線設置が必要となった状況である。本稿では新駅に関しては記事を別建てすることとし、今回はこれ以上の深入りを避ける。

図1:時刻表に記載のある野球臨を、筆者の想定を含め図示したもの。

 次に、令和5年(2023年)3月18日ダイヤ改正により、新たに設定される臨時列車について記述していく。現時点で判明している情報を参考にダイヤ図化したのが図1である。北広島~札幌の区間に対し、毎時2本程度臨時の快速列車を設定する予定である。北広島~札幌の所要時間は概ね20分程度であるから、例えば8711M列車が北広島を21時に出て、8715M列車として再度北広島駅を出る22時までには約1時間を要するから、列車をどこかしらから2編成調達できれば、この運転計画は実現可能である。なお、この臨時列車はナイターゲームを想定したものであるから、デーゲームについては本稿での検討対象から外す。ここで、臨時列車に該当する列車2編成を「どこから」持って来るかを、当方の想定にて記載したい。

図2 3両編成2本を連結し、1時間近く札幌駅構内に存在する列車があるので、これ(赤枠)を活用することを想定する。

図3 札幌20:49着の普通列車(緑枠)はUシートが無いので野球臨に適しているようにも見えるが……

図4 緑枠の列車は札沼線に向かってしまうので、その分は手稲から(Uシート有でも構わないので)回送する必要がある(図1で言う回5639M)。赤枠の列車(2816M)に充当するはずの編成はこの時点で白石→苗穂間を野球臨として走行中なので、代わりに手稲行きの回送列車(青枠)を充当することになると想定した。

 想定内容は図の脚注通りであるから再掲は避けるが、20時以降に札幌駅に到着する列車のうち、なるべくUシートの無い列車を充当することを想定している。なお、図2~図4はてんぽく先生の作品である「札幌駅2022秋」から拝借したものである。

 さて、北海道ボールパークFビレッジへの鉄道アクセスについてに記載のある「この他、試合終了時刻にあわせた臨時快速列車を1本運転します。」はどこに留置しておく想定なのだろうか。そもそも、時刻表に記載のある野球臨は北広島駅の3番線(札幌方面の副本線)で折り返す可能性が高い。これは、北広島駅の2番線(苫小牧方面の副本線)がその場での折り返し運転に対応していないこと、島松駅の2番線まで行って戻って来ようとすると1時間で1往復するのが難しいこと、これら2つが原因として挙げられる。ここで、島松駅の4番ホーム(札幌方面の副本線)はバリアフリー工事に起因して閉鎖されており、使用されていないという実態を紹介したい。しかし、筆者がこれまで何度か視認する限り、4番ホームは確かに閉鎖されていても、4番線の線路までは撤去されていないので、「試合終了時刻に合わせた臨時快速列車」は、試合終了まで島松駅の4番線に留置しておくのでは、という仮説を提示したい。なお、北広島駅の3番線は時刻表に記載のある野球臨で埋まってしまっているので、島松駅の2番線はダイヤ乱れ時に普通列車を入線させ、北広島駅の代わりに優等列車を待避するのに使うためにあえて空けておくことを想定した。

図5:北広島駅付近各駅の配線略図及び想定用途。図示したすべての駅で、向かって上側が1番線である。

 ここまで、いわゆる野球臨を具体的に設定する方法を、筆者なりに想定して記載した。輸送力にして毎時9本×約800人(Uシート有6両編成の定員)=7,200人/hを確保しており、JR北海道にしてはかなりの大盤振る舞いである、というのが筆者の感想である。欲を言えば、普通列車の白石待避は有効列車が減るので避けて欲しかったのが本音であるが……。ただし、北広島市の想定では鉄道の輸送分担率は35%であり、球場が満員になった場合は約13,500人(うち札幌方面11,500人)を鉄道で輸送する必要がある。このような事態が生じた場合は、乗車率が200%近くに達することは想像に難くないし、試合終了直後の列車では収容しきれない可能性が高い。野球観戦しているファンの心情と相反することを前提として書くが、延長戦を制して勝つような試合展開は、鉄道輸送を考えると非常に苦しい、と言わざるを得ない状況のように見受けられる。

 なお、バス輸送については「北広島駅までのシャトルバス」「その他の駅までの路線バス」の二つに分けて論じる必要があるように見受けられるし、むしろバス輸送の方が深刻な問題を孕んでいるようにも見受けられるが、筆を改める形で別途取りまとめることとしたい。

2023.03.11追記
 図5の通り、札幌貨物ターミナルを出発した貨物列車は、千歳線の札幌方面の線路を一時的に塞ぐ。新札幌駅で、札幌行き旅客列車→札幌貨物発貨物列車→札幌行き旅客列車の順に走らせたとき、旅客列車同士の間隔は約6分を要する。貨物列車等の支障が無い場合、旅客列車同士の間隔は約3分なので、札幌貨物発の貨物列車1本につき、設定できる札幌行き旅客列車が1本減ってしまう公算である。このほか、「札幌貨物着の貨物列車」「札幌駅着の特急列車」でも設定可能本数は1本減ってしまう。図1を見る限り、これ以上列車を設定するのは厳しいように見受けられる。島松駅の4番線で待っている列車は、(両方向の)貨物列車や(札幌行き)特急列車が運休ないし大幅遅延した隙間を狙って発車していく運用にならざるを得ないように見受けられる。




2022年10月30日日曜日

2022年11月の京急線ダイヤ改正について(1)

 おことわり


 本件は、2022年11月に予定されている京急線のダイヤ改正について、10月30日現在の当方での予測状況を簡潔にまとめるためのものである。

 プレスリリースの記述自体との整合作業は未了であるが、現時点でおおまかにまとまったので画像として掲載する。

 

図1:10月30日時点での妄想結果。

図2:図1の解像度を上げただけのもの。まじまじと眺めたい人向け。

2022年10月16日日曜日

JR東日本トレインシミュレータ(JR East Train Simulator)で遊んでみた(3)

  今回の記事の趣旨は、JR East Train Simulator で運転できる路線のうち、京浜東北線の大宮~南浦和の区間について、最も省エネルギーとなる運転方法について追求することである。本稿では前提として、「等増分消費エネルギー則による運転時分配分を行う」「速度によらず、機器効率は92.5%、ギア効率は97.0%とする」「加速中の架線電圧は列車の位置や速度によらず1350Vとする」「補機(冷房等)による消費電力量は考慮せず、純粋に走行のみに起因するものを対象とする」「回生ブレーキによる負の消費電力量は評価しない(※ブレーキの効きとしては評価する)」「個々の運転曲線は、最大加速→惰性走行→最大減速(1段制動、残り10m程度から多段緩め)を原則とする」を置く。

 では早速、大宮~南浦和の5つの駅間について、消費電力量を縦軸、運転時分を横軸に取って図示する。

図1 縦軸に消費電力量、横軸に運転時分を取った、両者の関係図(いわゆるW-T曲線)

図2 図1を作成する際に用いた運転曲線の一例(さいたま新都心→与野)


 縦軸に消費電力量、横軸に運転時分を取り、運転曲線を複数通り作成した上でプロットすると、傾きが負で下に凸の曲線が得られる。回生電力量を考慮しない場合の消費電力量は、概ね最高速度の二乗に比例する上、最高速度を上げれば上げるほど惰性走行の時間が短くなるので、グラフの左側では傾きが急になる現象がみられる。

 ここでは、大宮~南浦和の運転時分の合計を一定値としたとき、各駅間に何秒ずつ割り付けるのが最も省エネルギーであるかを論じる。この仮定は、「採時駅である大宮駅の発時刻と南浦和駅の着時刻を固定した状態で、各駅に何秒早着(もしくは延着)するのが最も省エネルギーであるか」を論じているのと同等である。「省エネルギーな列車ダイヤ作成のための簡易数理モデル」によれば、図1で言う曲線の接線の傾きがすべて同じとなる状態が、最も省エネルギーな運転時分配分とされる。図1においては、所与の運転時分に対するグラフの傾きを図示したが、大宮~さいたま新都心~与野は傾きが緩やか(運転時分が余る)で、与野~北浦和~浦和~南浦和は傾きが急(運転時分が足りない)という傾向がみられる。これらの傾向を基に、「接線の傾きがすべて同じとなる状態」を再現すると下記のようになる。

表1 運転時分の割り付け変更に伴う省エネ効果。元々の運転時分(※10月3日のアップデート以降)の配分は比較的理にかなっており、割り付けを変更した際の省エネルギー効果は思ったほど大きくはなかった。

図3 接線の傾きが全て同じになるよう運転時分を調整した状態。

 前掲の表1及び図3の通り、運転時分の割り付けを若干見直すことにより、大宮~南浦和の消費電力量は、213.8kWhから210.3kWhへと若干(約1.6%)減少することとなった。あくまで偶然ではあるが、さいたま新都心駅及び与野駅に対する若干の早着・早発が発生することになるので、これを認めてよいかどうかの議論が必要と考えられる。

 次回は、高速域で回生ブレーキ力が不足することに起因する、ブレーキパターンの見直しによる効果について考察する予定である。

2022年10月4日火曜日

JR東日本トレインシミュレータ(JR East Train Simulator)で遊んでみた(2)

  今回筆を起こした背景は、前回記事のリリース後、本シミュレーターの2022年10月3日のアップデートの影響を受け、浦和~南浦和の運転時分が20秒も短縮になったので、ランカーブを慌てて書き直したことにある。

図1: 区間運転時分の変更(2'10"→1'50")に伴う運転曲線の変更

 ノッチオフ速度を43km/hから63km/hに変更した程度で運転時分が20秒も変わるのか、と聞かれると、この図の通り「変わる」というのが答えである。ノッチオフ速度と言うよりは、その先の下り勾配による運動エネルギーの加算により、巡航速度が55km/h程度から70km/h程度にアップする、という言い方が正確かもしれない。

 この区間の運転時分を20秒詰める代わりに、最高速度が1.5倍近くになっている。運動エネルギーを速度二乗で近似すると、2倍近くの消費電力量になると推測できる。もっとも、この区間に関してはアップデート前が遅すぎた説が有力なので、運転シミュレーションとしてみれば妥当な変更だろう。

 この区間の運転時分変更に伴う、大宮~南浦和の各区間への所要時間の割り付け方に関する方向性の考え方については、今後の課題とする。


 閑話休題 このシミュレーターは、バグなのか不明だが逆走が可能である。逆走は駅を平然と通過できるので、例えば浦和→大宮の中距離電車を逆向きに眺めた結果を近似的に再現できる。この際の運転曲線の、実測値と当方で考える理論値を図示したのが以下のグラフである。

あとがき ところで、このゲームのリリース以来、掲示板では様々な議論が交わされているものの、浦和~南浦和で運転時分が余る、という報告は上がっていないと認識している。同区間の運転時分は、いったい何をきっかけに見直すことになったのだろうか……?

図2: 浦和→大宮を逆走して得られた結果。走行抵抗に若干の過小(70km/h付近)・過大(100km/h付近)の見積もりが見られると思われる。今後、これらの整合を取るための走行試験が必要と思われる。